皮膚科で水虫の治療をしてもよくならないのは何で?
こんにちは!豚子です!
皮膚科では、夏になると必ず水虫の患者さんが増えてくるんです。
そんな中でも、治る患者さんと治らない患者さんがいるのですが、何でだろう?と思うようになりました。
何気なく患者さんと生活習慣について会話していると、治らない人には共通点があることがわかりました!
「水虫を繰り返している人」や「家族に水虫がいる」という人は参考にしてみてくださいね。
目次
水虫ってそもそも何者?
水虫菌はカビの菌の一種です。
皮膚の一番外側の各層に感染して、水虫を起こします。
水虫には4つのタイプがあります。
①趾間型・・・足の指の間が白くふやけたり、皮がむける。
②小水疱型・・・足の裏に小さな水ぶくれができる。
③角化型・・・足の裏全体が硬くなってひび割れをおこす。
④爪水虫・・・足の爪が白く濁ったり、厚くなったりする。
症状があてはまる人はいますか?
水虫菌は高温でじめじめしたところが大好きです。特に夏場に活発になりますが、最近は暖房やブーツの流行により、冬でも活動しています。
見た目だけでは水虫と判断はできません。
皮膚科で足の皮を少しとって、顕微鏡でみるという検査をして初めて水虫だとわかります。(正式名称はKOHってゆう検査です)
趾間型や小水疱型の場合は、自己判断で市販の水虫の薬をぬっている人が多いです。自分の出す汗の刺激でふやけたり、皮がむけてしまうことはよくありますし、足の裏が荒れていて、汗が上手く外に出ないときも水ぶくれになったりします。
逆に角化型の場合は、ただ足の裏が硬くなっているだけだと思い、水虫だと気づかないことが多いです。
水虫の種類や薬の種類で治りやすさが変わる
趾間型、小水疱型、角化型の治療
一般的に、趾間型、小水疱型、角化型の人は塗り薬による治療が行われます。爪水虫に比べると比較的治りやすく、平均1~3か月くらいで完治します。
代表的な塗り薬には、メンタックスクリーム、ペキロンクリーム、ゼフナートクリームなどがあります。基本的な塗り方はどのお薬も同じです。
下の図を参考にしてみてくださいね。
薬を塗るタイミングはお風呂上りが一番効果的です。爪や皮膚がふやけて軟らかくなるので、薬が浸透しやすくなります。
水虫菌は症状がないところにもいる可能性があるので、皮むけや水ぶくれなどの症状があるところだけではなく、足全体に塗るというのがポイントです。 また、症状が片足だけの場合も両足に塗った方が予防になります。
水虫菌は各層に潜んでいます。各層がアカとなってはがれるまで1~2カ月かかります。
症状がなくなってからも1~2カ月は薬を塗り続けるのもポイントです。
1カ月に1度、皮膚科に受診して医師に診てもらうと良いと思います。
爪水虫の治療
一般的に爪水虫の人は塗り薬と内服薬を併用して治療が行われます。
内服薬の特徴
爪が根元から先端まで一通り生え変わるのが、1年~1年半かかるため、飲み薬は1年間飲み続けるのが一般的です。今までは、テルビナフィンという飲み薬が主流でしたが、肝臓に負担がかかるため、肝機能が悪い人には使うことができませんでした。また、内服していくうちに肝機能が悪くなる人がいたり、1カ月に1回は血液検査が義務づけられている薬のため途中で断念してしまう人も多いです。
しかし、20年ぶりに新しい内服薬が開発されたのをご存じでしょうか?テルビナフィンを1年間内服しても治りきらなかった人や途中で断念してしまった人に朗報です。最近になってネイリンカプセルという内服薬が登場しました。これは3カ月だけ飲めば1年間効果が持続するという薬で、テルビナフィンに比べると肝臓にも負担が少ないです。なので、血液検査も義務付けられていません。
肝臓への負担が全くないというわけではないため、肝機能に異常がある人は使用できない場合もあります。
爪水虫であきらめていた方、一度、皮膚科の医師に相談してみてはどうでしょうか?
塗り薬の特徴
爪水虫の場合は、爪専用の外用液というものがあります。代表的なものに、メンタックスローション、ルコナック、クレナフィンなどがあります。
①メンタックスローション
メンタックスローションは爪からは浸透しない液体のため、爪の間から差し込むように塗っていきます。内服薬と一緒に処方できるお薬です。
②ルコナック、クレナフィン
ルコナックとクレナフィンは爪からも浸透する液体です。なので、直接爪に塗るようにしましょう。ルコナックの先端は蛍光ペンのようになっていて、クレナフィンの先端はブラシのようになっているためどちらも塗りやすいです。
メンタックスローションに比べて、薬の値段が高価なため、保険診療の関係上、内服薬と一緒には処方できないお薬です。
内服薬が使用できない患者さんや、たくさんの種類の薬を飲んでいて内服薬を増やしたくないという患者さんに使用されることが多いです。
塗り薬だけで治療をする場合は、全体の3割の患者さんが完治します。ちょっと治りにくい印象ですね。
こんな感じで、治療方法によっても水虫の治りやすさって変わってくるんですね。
だけど、今まで患者さんをみてきて思ったのは、やっぱり生活習慣や薬の塗り方自体が間違っている人は治りにくいと感じました。
ずっと同じ薬を塗り続けて治らなかった人が、正しい塗り方をしたら症状が改善したなんてことも実際にあるんです。
生活習慣の違いで治りやすさが変わる
水虫になりやすい人の特徴
・長時間くつをはいている人
・一足のくつをはき続ける人
・汗をかきやすい人
・スポーツジムや温泉に行く人
・足の裏が荒れている人
・家族に水虫の人がいる
・お風呂上り、足の指まで丁寧に拭かない人 などなど
上記にあてはまる方は、治療をしていても治りにくい傾向があります。
水虫の薬は一瞬で菌を全滅させるわけではなく、徐々に減らしていくものです。足をむれた状態にしてしまうと、いくら薬を塗っても、また水虫菌を増やしてしまうことになるためなかなか治らないんですね。
また足の裏が荒れていると、そこに水虫の菌が入り込んでしまうので、薬が届きにくくなります。
スポーツジムや温泉のバスマットは水虫の菌だらけといわれています。体をきれいにしたあと、最後にバスマットを踏んでしまうため、結局足だけは水虫の菌で汚染されたままお家に帰っているんですね。
家族に水虫の人がいると、スリッパやバスマットを共有したときに水虫がうつってしまう可能性があります。そうなると、家の中でうつしあっこの始まりです。
生活の注意点は?
・足を湿潤環境にさせない!
お風呂上りは足の指の間まで丁寧に拭く、靴下を5本指ソックスに変える、汗をかいたら靴下をこまめに取り換える、靴を2足以上用意して交互に履く、履いていない方の靴には乾燥材を入れておく、なるべく通気性の良いサンダルなどを履く・・・など
・足を清潔に保つ!
スポーツジムや温泉などでバスマットを踏んだら、家に帰ってきてから足だけ洗うようにすると予防になります。
石けんで指の間まで丁寧に洗うのが大事です。ただし、ごしごし洗うと菌をばらまいてしまうので注意が必要です。
・家族にうつさない!
バスマットやスリッパは共有しないようにしましょう。ただし、水の中でうつったりはしないのでお洗濯やお風呂のお湯は一緒で大丈夫です。
また、じゅうたんや床はまめに掃除機をかけるようにしましょう。水虫菌は足から剥がれ落ちた皮膚の中でも生き続け、誰かがそれを踏んでしまうとうつることがあります。
水虫を効率よく治すためには?
「正しく薬を使う」「生活の注意点を守る」この両方を守ることが大事だと思います。
やはり、どちらかができていないと、ずっと治らず皮膚科に通っている人が多い印象です。
水虫自体が治るのに最低でも数カ月~1年はかかります。せっかくなら最短で治したいですよね?
水虫を治すのに必要な能力は「やる気」と「根気」!
一度治療すると決めたら、長い道のりになるので覚悟を決めた方が良さそうです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
水虫治療に関して参考になれば幸いです。